2006.4.23
F−FDTL(東ティモール国軍)隊員595(591から訂正)名(西側出身者)の大量脱走、それに伴う脱走隊員の全員解雇から2ヶ月ばかり経ちました。この脱走隊員を中心にそのサポーターを含めた総勢5000名のデモが、4月24日から28日までの間、ディリ市内の目抜き通りで行われるそうです。この国の政府はPNTL(国家警察)を中心にその治安対策に追われています。2001年10月28日の独立以来最大のデモに発展しないよう政府もその対策に大童のようです。しかし、一般の市民はいつもと同じく穏やかな生活を送っているように見えます。
国軍最高司令官Taur Maton Ruak(タウア・マトン・ルアク)将軍のリーダーシップ上の問題、国軍内の東側出身者と西側出身者間の極端な人事差別、(東側出身者に比し、西側出身者が極端に冷遇されているようです。なお、国軍はゲリラ出身者が主流で、ゲリラ戦では東側出身者が勇敢に戦ったのは誰もが認めています。なお、国家警察は逆に西側出身者が主要なポストを占めています。)あまりにも低い賃金、などが大量の隊員脱走につながったと思われます。
また、大量解雇後も、最高司令官の説明した解雇理由が国民には、特に西側出身者からは全く受け入れられず、これも今回のデモ発生のもう一つの原因になったと思われます。
多分、最高司令官を辞任させれば、あるいは彼が自主的に辞任すれば、現在の事態は防げたかもしれませんが、この最高司令官は、インドネシア統治時代、現大統領ガスマウ氏に次ぐゲリラのリーダーだったこと。そして何といっても国軍最高司令官だけに、大統領も総理大臣もその処遇に困っていると思います。暴れられると困るのもこのトップ二人ですから。
デモのリーダーは脱走隊員(先任)の一人、Salsinhaサルシンハ(中or小)尉殿。警察庁長官パウロ氏とこのリーダー間で「デモの間、双方(警察・デモ隊)暴力沙汰は起こさない」という誓約書(複数の情報)を交わしたそうですが、群集心理によるデモの暴徒化が心配です。
4月19日、内務大臣ロバト氏は国家警察本部で全警察官を前にして、約30分間にわたる長い訓辞をしました。明日もしくは明後日(その後4月24日〜に変更)に予想される国軍脱走隊員とそのサポーターによるデモに対する警察官としての心構えがその主たるものだったようです。(私の通訳兼ドライバーの話の要約)
1.治安の中心は国家警察だ。大統領も、総理大臣も国軍も信頼し、期待して いる期待を裏切るな。
2.デモ隊にあおられての喧嘩はするな。
3.武器を使用するな。
また、その日の夕刻、隊員が大量脱走したディリ市内にある駐屯地近くのバスターミナルでも、一般大衆を前に街頭演説を実施しました。
1.近くに見慣れない人、不審な人が来たら直ちに近くのポリス・ステーションに 届けるように。
2.今回はデモが激しくなっても東ティモールの閣僚含め、ティモール人が海外
に逃げないよう空港・港を閉鎖する。外国人は出国させる。
とまで言ったと私のドライバー兼通訳(警察官)が話してくれました。
明日のデモはどうなるか解りませんが、私はこの国滞在1年間の経験からデモが本当にそのように大規模で行われるのか今ひとつ信頼出来ませんが…。
政府庁舎の前の検問が始まったくらいで市内はいたって平穏です。わが事務所のオーナー、エレナおばさんは全く気にもかけていません。学校も職場もいつも通り、全く閉鎖はしないとのことです。
しかし、国家警察のわがカウンターパートのヘルマン警部は、私に、デモの間、「夜間の外出はしないでくれ。何か起きたら私をすぐ呼びだしてくれ」と何度も言って勤務に向かいましたが。この格差は一体何に起因しているのでしょうか。また速報を送ります。
久光 記 |