王土会会報 第20号 (14.4.1)
目次

 1、 ご挨拶  王土会代表理事 新井光雄
 2、 王土会発足40周年記念総会ご案内
 3、 記念総会開催に際し
 4、 インターネット(アフガン戦争で話題となった兵器)
   (1)BLU―82/B (デイジー・カッターと呼ばれる超大型爆弾)
   (2)BLU−109/B貫通爆弾
   (3)BLU―113/B 超貫通爆弾 (通称)バンカー・パスター又はディープ・スロート
   (4)燃料気化爆薬FAE(Fuel Air Explosiv) (爆発時に発生する衝撃波を利用する爆薬)
   (5)クラスター(集東)爆弾 (多数の子弾を内蔵した爆弾の名称)
 5、 会員の声
 6、 新 入 会 員、 訃 報
 7、 編 集 後 記
 8、 最近の装備品の紹介J

 ◎ ご 挨  拶
        王土会代表理事
           新 井 光 雄
 全国王土会会員の皆様、新しい年を迎えお元気でお過ごしのこととお慶び申し上げます。
 21世紀最初の年である昨年を振り返つてみますと、最大の事件は9月11日、米国内で発生した同時多発テロであり、世界中を震撼させました。日本人を含む多数の犠牲者を出し、新たな国際的脅威となりました。将に青天のへきれきでありましたが、ブッシュ大統領の呼び掛けに呼応し、主要国の指導者達が共同歩調をとり、テロ撲滅に向かった行動がとられました。
 我が国の対応も敏速で、早々にテロ対策特別措置法を成立させ、自衛艦や航空機を米軍の後方支援及びアフガン難民の援護物資輸送のために派遣しました、これを契機に国会で米軍作戦の後方支援に関する基本計画及び、PKO協力法の一部改正法が可決され、諸外国のPKO部隊の水準に一歩近づいたと云えると思います。
 国内では長びく不況のもと、失業率も深刻な状態になっておりますが、4月に小泉内閣が発足し、7月の参議院選挙を経て、構造政革を推進しております。しかし抵抗も大きく、進展は思うに任せない状況にあり成果はこれからという事になります。そのほか、狂牛病や不審船問題など内外とも激動の年でありましたが、12月1日に皇太子殿下に内親王殿下が誕生されました。待ちに待った新宮様の誕生で国民が明るい気持になった事は喜ばしい事であります。
 本年も引き続き厳しい年になりそうです。
 同時テロは世界の経済にも重大な影響を及ぼしており、90年代から世界の経済を引っ張ってきた米国の景気減速に拍車をかけ、世界が同時不況の様相を深めようとしておりますが、後半は米国経済の回復が期待され、それに伴い日本経済も回復基調に向かうことを切望しております。
 安全保障上の案件は活発化することが予想され、防衛諸問題の論議が盛んになり前進することが期待されます。
 陸上自衛隊も着々と改編が行なわれておりますが、武器科関係では関東補給処の改編が3月で終了します。また後方支援連隊(旅団では後方支援隊)の改編(第2段階整備の取り込み)が行われるほか、昨年3月に武器学校の研究部が教育に関する研究を除いて研究本部に統合されました。
 最後になりますが、本年は王土会発足40周年に当りますので、王土会総会時に志方俊之氏の記念講演を実施すべく役員一同で案を練っております。
 総会には多くの会員の方々のご来場を頂き盛大に実施したいと考えておりますので宜しくお願い申し上げます。
 席上でお会いして親しく歓談できますことを楽しみにお待ち申し上げております。
 
    
  ◎ 記念総会開催に際し
 本会報の第1ページ下欄にご案内の通り、発足40周年を飾る記念総会を開催いたしますが、40年前に遡り、諸先輩が如何にしてこの王土会を発足されたのか、会報の第1号〈平成4年1月1日発行)に寄せられた種田弘治先生の記事からご紹介してみたいと思います。
 昭和37年の春頃と記されておりますが、当時陸幕武器課長でおられた種田先生のもとに、武器の長老、谷本、原田の両先生(もう既に両先生とも故人となられております。)がこられ、武器職種のOB会を作ってはとのお話があったそうです。OB会ということは、OBが主体で、現役は段取りのお世話をして、共々お相伴に預かり、先輩の御意見などを拝聴しながら親睦を図るということで、取り敢えず、陸幕武器課が世話役となり、計画を進められたそうです。
 先ず、会の名称は何とするかから始められたようですが、種田課長自ら「王土会」としてはと提案され、みなさんの同意のもとに決められ、今日に至っているようです。
 「王土会」の名前の由来については、種田先生は、米軍組織における武器部隊、武器職種のあり方に常日頃少なからず尊敬的な観念を持っておられ、その名が「オードナンス」であることに惚れ込んでおられたためであったそうです。
 ただし、「オードナンス」をそのまま取り込むには今流行の片仮名を使うことにご本人にも抵抗があったようですし、また、もう一つ、先生が武器学校の副校長をしておられたとき、同好の人々とともに陶芸を始められ、校内の湖畔に窯を築いて焼き物を作られたときに、それを名付けて「王土焼」として、好評を博したことも念頭にあってこの会の名をオードナンスの発音を真似て「王土会」と提案する気になられたそうです。
 次いで、会長は?という段になり、OBが主体で現役はお世話役ということになると、当時としては神代時代から武器科のために尽くされ勇退された点から至極当然に谷本先生にお願いすることとなりご快諾を得、昭和37年11月17日、東京調布市の深大寺の門前そば屋で第1回医目の総会が開かれたそうです。当日の出席者51名。
 以来、40年、時代は刻々と変化し、武器科の存続までにも影響を及ぼす昨今ですが、種田先生をはじめ、諸先輩方々のご努力により今日まで築かれた「王土会」は発足40周年を迎え、会員諸兄のご協力を得て益々隆盛を極めて行く必要性を痛感しつつ記念総会を企画いたしております。
 このため、記念総会のメインイベントとして、冒頭の代表理事挨拶にもご紹介しましたとおり、最近防衛問題の第一人者としてご活躍中の志方俊之氏をお招きし、記念講演を行って戴くことといたしました。
 既にご存じの方も多く居られると思いますが、改めてここに志方氏の略歴をご紹介しておきます。
 志方俊之先生
    昭和11年3月30日生まれ
 防衛大学校第2期生(昭和33年卒)
 京都大学工学博士(昭和43年)
 第2師団長 (昭和62年)
 防衛大学校幹事(昭和63年)
 北部方面総監(平成2年)
 陸上自衛隊退官(平成4年)
 世界平和研究所・研究顧問(平成4年)
 帝京大学教授(平成6年)
 〈著書)
    「自衛隊はどこへ行く」日本評論社
    「極東有事」クレスト社
              (馬渡担当)
 
 ◎ インターネット
 王土会会員の皆様明けましておめでとうございます。
 不況はまだまだ続き、明るい話題は少ないのですが、戦後の混乱から立ち上がってきた日本及び日本人には底力はあるに違いありません。我々は戦後の焼け野原を思い出し、もう一度立ち上がりましょう。またはその手助けをいたしましよう。
 さて、アフガン戦争(対タリバン)では、予想にもまして米軍の軍事的な勝利で終わりつつあります。
 しかし、まだラデインの捕捉に向け戦いは続けられています。米軍の戦死者の数は数名(誤爆など事故を除く)程度といわれ、米軍の「戦場デジタル化」の成果もその一つの要因でしょう。
 今日は、この戦争で話題となった兵器(爆弾)について紹介します。
 これらは「デイジー・カッター」、「貫通爆弾」、「超貫通爆弾」、「燃料気化爆薬」「クラスター爆弾」の五種類です。
 いずれも正規のインターネットで掲載中のものから取り上げました。
           (久光担当)

   BLU―82/B
   (デイジー・カッターと呼ばれる超大型爆弾)
 解説
 デイジー・カッター又はビック・ブルー2と呼ばれる超大型爆弾。爆発時に発生する衝撃波により地雷を爆破させたり、生い茂る樹木をなぎ倒してジャングルにへリポートなどを緊急に作る場合や、広範囲
に分散した歩兵や施設攻撃などにも使用される。
 BLU−82/Bは爆弾と言うよりは、爆発物を収納した巨大なタンクとも言うべき形状をしている。
弾体は円筒形のタンクに円錐形の風防が取り付けられ、先端には長さ1.24mの信管プローブが取り付けられている。プローブの先端部分にはM904信管が装着されており、衝撃波が周囲に効果的に広がる高さで爆弾を爆発させる。内蔵される爆発物はスラリー(含水)爆薬で硝酸アンモニウムやアルミ粉末と水をゲル化した混合物である。爆発力はダイナマイト並だが、製造・取扱の面で安全性が高い。
 なお、一部マスコミ等でBLU−82/Bを燃料気化爆薬と解説しているが、これは誤りだ。なぜならば、爆発時の衝撃波を利用する点では同じであるが、爆発物と爆発のメカニズムは異なるからだ。
燃料気化爆薬は所定の高度において、近接信管によりエチレン酸化物等の雲を形成、これに点火・爆発させる仕組みであるのに対し、BLU−82/Bは地上1.24mで内蔵したスラリー爆薬を爆発させ
るだけの単純な爆弾でしかない。
 
 現在、BLU−82/Bの使用が認められているのは、特殊作戦に使用されるMC−130Hコンバット。タロンのみで、貨物室にパレットに載せられた状態で搭載され、目的地点上空で後部貨物ランプから投下される。投下後はパレットを切り離し、パラシュートを展開、地上に向かって降下、先端に取り付けられたプローブが地面に当たると起爆して1平方cm当たり73kgの衝撃波を発生させ、地雷を爆破させたり、木々をなぎ倒す。湾岸戦争では11発が地雷原等に爆発の凄まじさに、特殊部隊の隊員までが核爆発と勘違いしたと言うから、敵兵士に与える心理的効果も大きい。
 性能諸元    全 長  5.37m
         弾体直径 1.56m
         総重量  6800kg                    炸薬重量 5715kg
 参考文献    エネルギー物質ハンドブック  (社)火薬学会/編 共立出版(株) 
         火薬学概論          中原正二    産業図書(株)
         火薬のはなし        久保田浪之介    日刊工業新聞社
         雑誌歴史群像航空爆弾   野木恵一
         U・S・ウェポン・ハンドブック 宮本勲     原書房
         Jane's Air‐Luncet Weaposn Jane's infumation Grouupu
         USAF Museumホームページ
         Http://www5jutnet.ne.jp/〜Weapon/blu82.htm

    BLU−109/B貫通爆弾
 解 説
 地下指揮施設や、航空機用強化コンクリート・シェルターなど、強固な構造を持つ目標を破壊する貫通爆弾の弾頭。レーザー・電子光学誘導爆弾や空対地ミサイルの弾頭として使用される。
 貫通爆弾の役割は、汎用爆弾では効果の薄い、強化コンクリート製シェルターや地下指揮施設などを破壊することにある。強化コンクリート構造物を貫通するため、弾体形状は汎用爆弾が流線型であるのに対して、BLU―109/Bの弾体中央部は円筒形で、貫通に適した形をしている。
 弾体も頑丈に作られており、ほば同じ重量であるMk84弾体の凡そ2倍の厚さ2.5cmの4340硬化鋼を使用している。このため内蔵炸薬はトリトナール240kgとMk84の428kgのおよそ半分しかない。しかし、頑丈で重量のある弾体により、1.8〜2.4mの強化コンクリートを貫通できる。


 信管は後部にFMU−143信管が装着され、爆弾が目標の表面ではなく、内部に突入してから爆発するように弾着の100分の6秒後に炸薬を起爆させる。
 最大の貫通効果を発揮するには、弾体の運動ェネルギーを増加させるため、高高度からの投下、若しくは低空飛行の場合には投下時に機体を急上昇させて、トス爆撃を行う必要がある。
 BLU−109/BはGBU−10・24・27などのレーザー誘導弾やJDAMの弾頭としても使用される。

 性能諸元  弾体全長  2.4m  弾体直径  0.37m
       弾体重量  874kg  炸薬重量  240kg
       貫通力  1.8〜2.4m(強化コンクリート)
参考文献   US・ウェポン・ハンドブック 宮本勲  原書房
       トム・クランシーの戦闘航空団解剖  トム・クランシー 新潮社
       雑誌軍事研究   (株)ジャパン・ミリタリー・レビュー
       Jane's Air-Lunched Weapons Jane's Injormation Groups

  BLU―113/B 超貫通爆弾
     (通称)バンカー・パスター又はディープ・スロート
 解 説
 湾岸戦争中、特に頑丈な構造を持つ指揮・通信バンカーや地下施設を破壊するため、開発された超貫通爆弾用弾頭。貫通力は貫通爆の3倍以上とされる。
 BLU−113/Bを使用したレーザー誘導爆弾をGBU−28/Bと呼び、この他、B−2スデルス爆撃用に、GPS(全世界測位システム)誘導キットを取り付けたタイプをGBU−37/Bと言う。
 イラク、バクダッド近郊のアル・タジ空軍基地に建設された、強固な構造の指揮・通信バンカー、通称「タジ#2」を破壊するため、貫通爆弾BLU−109/Bを使用したが、バンカー表面を破壊するだけで、破壊は不可能だった。そこでこのバンカーを破壊するため、BLU−109/Bを上回る超貫通爆弾が開発された。

 BLU―113/Bの開発は異例のスピードで行われた。湾岸戦争開始から、凡そ1週間後に空軍から製造メーカーのロッキード・マーチン社に開発が依頼された。通常この種の爆弾の開発には、凡そ数ヶ月以上かかるが、早急に製造するため、弾体は203mm榴弾砲の砲身を利用して、2月1日から製造が開始され、同月24日には投下試験を実施した。結果は驚異的で、コンクリートと同等の強度を持つ、粘土質土壌を30m貫通した弾体は、回収不能となった。また、ロケット・エンジンを取り付けた橇を使用した貫通力実証試験では、厚さ6.7mの強化コンクリート壁を変形することなく貫通した。
 BLU−113/Bは、レーザー誘導キットを取り付け、2月28日の停戦発効直前に、2機のF―111戦闘爆撃機より2発投下され、「タジ#2」を見事に破壊した。
 弾体構造は貫通爆弾BLU−109/Bを基本としており、外極も同じ37m。 しかし長さは約4m(推定値)と1.6m長い。信管は後部にFMU−143/B信管が装着され、爆弾が目標の表面ではなく、内部に突入してから爆発するように弾着の100分の6秒後に炸薬を起爆させる。
 湾岸戦争終了後、Gセンサーを内蔵し、貫通した部屋の数をカウントできる硬化目標用スマート信管FMU−157/Bも開発された。
 弾体内部は炸薬を充填するため、長い管状になっており、ここから「ディープ・スロート」の通称が付けられた。炸薬はトリトナール306kg、弾体重量は2020kg(推定値)と戦闘爆撃機。爆撃機が搭載する爆弾の弾頭部分としては全長・重量とも最大級である。このため、搭載できる機体は限定されており、爆撃機ではB−1、B−2、戦闘攻撃機ではF−111の退役した今、F−15Eストライク・イーグルのみである。
 性能諸元 弾体全長 4.0cm(推定値) 弾体直径 0.37m
         弾体重量 2020kg(推定値) 炸薬重量 306kg(トリトナール)
        貫通力 6.7m以上(強化コンクリート)、30m(固化粘土土壌)
 参考文献 US・ウェポン・ハンドブック 宮本 勲  原書房
        トム・クランシーの戦闘航空団解剖 トム・クランシー 新潮社
        雑誌 軍事研究  (株)ジャパン・ミリタリー・レビュー
        Jane's Air-Lunched Weapons Jane's Injormation Groups

  
燃 料 気 化 爆 薬 FAE(Fuel Air Explosiv)
     (爆発時に発生する衝撃波を利用する爆薬)
 解 説
 酸化エチレン、酸化プロピレンなどの可燃性液体を爆薬で飛散させて霧状の雲を作り、適当な濃度になった時点で点火すると爆発して衝撃波を発生する。この衝撃波を利用して地雷原を無力化、広範囲に分布した歩兵の殺傷や車輌、建造物などを破壊する爆薬。ベトナム戦争時、米国により開発され湾岸戦争でもイラク軍の地雷原を無力化するために使用された。
 クラスター爆弾に搭載されるBLU−73/Bでは1平方cm当たり22kgの衝撃波を発生させる。この圧力に曝されると、人間は即死、車輌は完全に破壊され、重量コンクリート構造物も、かなりダメージを受ける。
 実際の運用に当たっては可燃性液体の空気中における濃度条件が厳しく、乱気流や地上に障害物などが存在すると、効果が減少する場合もある。
 米軍の使用する気化燃料爆薬の代表的なものは下記の通り。

 なお、一部マスコミ等でBLU−82を燃料気化爆弾と解説しているが、これは誤りだ。なぜならば、爆発時の衝撃波を利用する点では両者同じだが、爆発物と爆発のメカニズムは全く異なる。燃料気化爆弾は近接信管により酸化エチレン等の雲を形成、これに点火・爆発させる仕組みであるのに対し、BLU−82は地上高1.24mで内蔵したスラリー爆薬を爆発させるだけの単純な爆弾でしかない。
 性能諸元 (BLU−73/B)
        全長  0.53m      弾体直径 0.34m
        総重量  45kg      炸薬重量 (種類) 33kg(酸化エチレン)
 参考文献   エネルギー物質ハンドブック  (社)火薬学会編  共立出版(株)
       火薬学概論  中原正二    産業図書(株)
       火薬のはなし  久保田浪之介   日刊工業新開社
       雑誌歴史群像航空爆弾   野木恵―
       US・ウェポン・ハンドブック 宮本勲   原書房
       Jane's Air-Lunched Weapons Jane's Injormation Groups
       Federation of American Scientists ホームページ
       USAF Museum ホームページ

   
クラスター (集東)爆弾
      (多数の子弾を内蔵した爆弾の名称)
 解 説
 航空機から投下されると、小型爆弾や地雷などを目標上空で散布、広範囲に被害を及ぼす爆弾。

 クラスター爆弾は、子弾の運搬。散布を行う、言わば荷物を運ぶトラックのようなもので、ディスペンサーと呼ばれる。火薬若しくは遠心力を利用して散布範囲を広げるタイプも開発されている。

 通常爆弾より1発当たりの殺傷力は劣るが、贋い範囲に分散した目標を、1度に破壊できるので、対空砲火陣地、飛行場、補給物資集積場や、散開した戦闘車両・トラック、歩兵などの攻撃に使用される。

 運用上の制約は下記の通り。
 ☆適切な散布高度を選択しないと、子弾の散布具合に影響する。散布高度が、高すぎれば子弾は広がりすぎてしまうし、高度が低すぎれば期待した範囲をカバー出来ない。
 ☆ 散布パターンの予測が困難である。
 ☆ 中・高高度から投下されると、風などに流され日標から外れてしまう。このためIMU(慣性測定ユニット)を利用して目標に誘導するWCMD(wind Corrected Munitions Dispenser 風向修正弾薬ディスペンサー)も開発された。
 ☆ 散布された子弾が不発の場合、友軍地上部隊の進撃の妨げとなったり、非戦闘員にも被害を与えるため危険性がある。コソボ、アフガニスタンでも不発弾の処理が課題となっている。

 クラスター爆弾の構造は、3つに区分される。先端部分には、定められた高度、若しくは時間で弾体を分割する信管。この後方には子弾を収納する貨物室がある。最後部には、安定翼が取り付けられており、投下後、大型の安定翼を展開するタイプもある。

 米軍制式名称はCBU(Cluster Bomb Unitクラスター爆弾ユニット)と呼ばれ、SUS(Suspensin Underwing Unit翼下懸架装置)などのディスペンサーと、搭載される子弾の組み合わせにより、様々な種類がある。
 クラスター爆弾に内蔵される、主な子弾を以下に挙げる。
 ☆対装甲・対物子弾 (BLU−97/Bなど)
  成形炸薬を内蔵、越高速のメタルジェットで装甲板を貫通する。同時に周囲に破片を放出し被害を与える。  
 ☆センサー信管付子弾(BLU−108/B)
  赤外線センサーを搭載、自律して戦車などの目標を探知・破壊する。
 ☆焼夷効果子弾(BLU−97/Bなど)
  ジルコニウムなど空気と反応して発火する物質を飛散させて、火災を起こす。
 ☆対戦車、対人地雷(BLU−91/B、BLU−92/BBなど)
  地雷を散布して、敵の進撃を遅らせる。
 ☆滑走路破壊子弾(BLU−107/B)
  滑走路に穴を開け、航空機の離着陸を不可能にする。
 ☆燃料気化爆弾(BLU−73/Bなど)
  酸化エチレンなどを空気中に噴霧して起爆する。爆発時の衝撃波で地雷を起爆したり、広範囲に被害を与える。
 ☆対人子弾(BLU−63/Bなど)
  爆発すると周囲に破片を放出する。

 米軍で使用されている代表的なクラスター爆弾は以下の通り。


クラスター爆弾は世界各国でも使用されている。
 性能諸元(Mk7ロックアイU)
       弾体全長  2.34m  弾体外径   0.34m 
       重 量   222kg    個弾:M118 247個
参考文献  図解エアパワー最前線上・下 アンソニー・ソニンポロ   原書房
       US・ウェポン・ハンドブック 宮本 勲     原書房
       トム・クランシーの戦闘航空団解剖   トム・クランシー  新潮社
       B-l LANCER The Most Complicated Warplane Ever Developed Dennie R Jenkines McGraw-Hill
       Jane's Air-Lunched Weapons Jane's Injormation Groups
       Federation of American Scientists ホームページ

   ◎
 会 員 の 声
    北海道北広島市 池 田 儀 彦
 謹啓、会報記事応募の葉書をいただき、意義あることと思い、駄目だと言われるのでご本人の承諾も得ず失礼と存じますが、昭和40年代の北処武器部をご存じな方々には懐かしきことと、敢えてお便りいたしました。
 当時、北処武器部保管課長関口寿恵吉さんを囲む夕べを傘寿のお祝いを兼ね、平成13年7月14日、恵庭市で当時の保管課勤務賛同者42名が集い、当時を偲び心暖かく和やかに大成功裏に実施しました。
 世話人代表挨拶に『声無くして人を呼ぶ。鳥雀枝の深きに集まる』の諺を引用、その人徳を讃えましたが、全くその通り、私心なく私たちは現在も深く立派な上司に巡り会ったことを感謝しています。
 集いのスナップ写真等をアルバムに纏め『巻頭に右記の諺を毛筆書きし、差し上げましたことをご報告いたします。

       土浦市 植 田   喩
 昭和50年に武器補給処を最後に25年間の陸上自衛隊勤務を終わり、引き続き民間小企業に20年勤め、その後地域社会への恩返しにと町内世話役に携わり、平凡ながら能動の人生を済ませて、平均寿命を乗り越えた今は、遊行三味の境地で、山林育成ボランティアの真似事、生涯学習に参加して古寺社巡りや旧跡探訪などで余生を楽しんでおりま素。
 とはいえ老兵は消え去るの心境に至れず、日本経済の再隆を目指した構造改革への取り組みの緩慢さに政治の貧困を憂い、昨年9月11日、無謀にもニューヨーク世界貿易セン一ター高層ビルが爆破され、世界は同時多発テロに驚愕し、自国への脅威と捉え、米国のアフガン報復攻撃に協力支援して、反テロの包囲網を構成したが、「一極支配と写る米国による力の平和」に陰りが見え、日本は米国依存の安全保障の幻想を捨て、自前のテロ対策体制の構築が急務な時、憲法理念にふまえ、国民合意の国家戦略の明徴を忘れて、及び腰に支援活動の枝葉末節に囚われ、喧々囂々チンタラに神学論争している。政治の堕落を嘆いております。
 最後に王土会には益々の発展並びに会員皆様のご健康ご多幸を祈念申し上げます。

       静岡市 荻 島 錦 治
 自衛隊創成期の総隊総監部武器課で最若年幹部であった私も喜寿を迎えましたが、王土会会報で旧知の方々の消息を知り、懐旧の情切なるものがあります。
 現役時代の特異な思いでは市ヶ谷で遭遇した三島事件です。当日の昼頃、突然スピーカーで本館前広場に総員集合を命ぜられ、空には報道用のへリコプターが乱舞する状況下で、総監室バルコニーに現れた「楯の会」の派手な制服姿の彼と、決起の弁舌を見聞したことです。
 現在は、ボケ防止の意味で町内会長として雑事を処理しながら、月に2回位ゴルフで富士裾野のコースに出かけております。
 なお、私事で恐縮すが、昭和52年に旧姓山崎から妻側の姓に改めておりますので、宜しくお願いいたします。

     さいたま市 金 子 則 秋
 定年退官9年、目下のところ元気に第3の職場に通勤しております。
 友人、知人の消息に懐かしさと勇気づけられております。
 会報を楽しみに待っております。

     山形市 草 野   稔
 今年喜寿を迎えました。狭心症、心筋梗塞を起こして10年目、病状は少しずつ快復しているものの、いまだ通院の身であり無理は出来ません。
 出身県ではないが、山形市に住居を構えて約40年、今は山形の人となりました。
 師団や駐屯地には顔を出しております。 現在、6師団出身武器科職種を束ねて「武親会」を運営し、今年で14年目、懇親を深めております。
 最近は現役途中で仙台方面に転勤した方々も年1回の総会には顔を出すようになり、昔話に花を咲かせ、大変賑やかな会合になっております。
 私もそろそろ会長交代の声もありますので、今年一杯の職務かと考えております。
 今後職種が無くなるとこの会もどうなるか先が見えません。
 最後に王土会の益々のご発展と皆様のご健勝を御祈念申し上げ、筆を置きます。

         船橋市 高 田   統
  海自の護衛艦『くらま』の想い出 11月9日の朝、『くらま』等3隻の護衛艦がテロ対策特別措置法の成立を受けての第一陣として佐世保を出航したニュースに接して、私は特別の感慨を持ちました。
 と言うのは、昭和54年夏から約2年間調達実施本部東京支部に勤務していた際、同艦は石川島播磨重工業で建造中であり、丁度「公試」が行われている最中に着任し、完成して「引き渡し式」が行われる10日ほど前に離任するという、得難い巡り合わせに恵まれる経験をしていたからです。
  陸の制服を着た者でもこんなチャンスがあるのかなと驚きながら昭和54年の11月、同艦の艦長室に隣接した司令官室に陣取って、一時は酷い船酔いに悩まされたりしながら、館山湾とか伊東沖などで行われた「公試」(国が行う公開の試験)に立ち会って、沿岸とはいえ一応洋上を走り回った憩い出が鮮やかに蘇りました。
 1年早い工程で建造が進んでいた同艦型の『しらね』とともに当時は我が国最新・最大の艦であった『くらま』は、対潜ヘリHSS−2を3機搭載し、シースパロー対空ミサイルも装備して全長159b、基準排水量5,200トン、最大速度32ノット(陸上の60h/hに相当)という堂々たるもので、艦首の直前に沿って吹き上げる強風の中ではとても立ってなど居れるものではありません。急な災難を避けて慌てて左右に飛んで逃げ散る飛び魚の姿も忘れられません。
 王土会の一員としては比較的珍しい経験をさせて貰った往時を懐かしく思いだしたことでした。

       高崎市 千 代 清 彦
 在隊25年を弾薬で過ごし、大分での米軍弾薬受領。中国化薬(株)でのTNT、Comp−B等の填薬、組立。吉井で東大安田講堂事件の発煙筒補給。HAWKミサイルのR/M処理等を体験。昭和51年以降は県火薬類保安協会でダム、トンネル、採石場等の発破、煙火打ち上げ、講師等火薬一筋で幸せでした。平成9年以降、ボランティア、老人大学〈5年目)等で張り切っています。
 会員の皆様のご健勝を心から祈念いたします。

    岐阜県穂積町 長 尾   登
 13年6月17日、第3武器隊(武友会)総会開催。OBの出席74名、現役27名の大盛会。栗原大隊長以下盛大に行われた。50年退官の部隊、47年〜50年の世情不安な時代に辛苦を共にした幹部曹諸君の顔は当時のまま、懐かしさで一杯。当時は事故多く悩み多き時代であった。しかし、故郷に帰ったような感じがして、自衛隊の誇らしさを感ぜずにはいられない。
 10月28日、宇治駐屯地開設50周年記念行事。35年振りに宇治を訪れた。旧軍当時の煉瓦作りの隊舎、給水塔、昔の司令部等がそのまま保存されていて懐旧の情禁じ得ず。宇治は3等保安士として着任した若き日の憩い出多いところである。
 時世の変遷に流されながら厳然たる自衛隊の存在感を感ずると共に自衛官たりし私の存在をしみじみ良かったと思った。
 正義に燃え、清廉な自衛隊、ここに日本の原点を見た思いである。

       仙台市 橋 本   寛
 第14回全国健康福祉広島大会〈ねんりんピック)弓道の部に参加してきました。香川、名古屋に次いで3回目でした。参加者の中にはお元気な90才の方が2人も居りました。
 大いに励まされました。次回の参加を目標に楽しみながら弓を引いております。
 健康第一に楽しく過ごしましょう。

       土浦市 樋 口   隆
 この数年問、ホームページ(自衛隊OBがつくるホームページ)を作成していたのが、昨年の6月で中止しました。
 喜多さんから原稿の一部を戴いていました。また「地球環境をよくしよう」というのも中止しました。これは京都会議後の環境問題を取り上げています。
 理由は年齢です。最近腰が痛いので閉口しています。
 今は電子メール(jz9t-hgc@asahi-net.or.jp)を友達とやりとりしていますが、いつまで続けられるかと思っています。これが私の近況です。

      土浦市 福 田 奎 佑
 早いもので、自衛隊退職21年が経ちました。土浦に住み着き、平成9年東京勤務から解放されて5年になります。
 12年度と13年度は町内会の役員を仰せつかり、一寸刺激ある2年間でしたが、最近は生活習慣病で月1回の病院での検診と薬貰い、年数回の夫婦旅行、庭いじり、5年間統けている週3回の朝1時間あまりの散歩等、75才の年齢相応、何とか元気にやっております。
 昨年の王土会は国外旅行で出席出来ませんでしたが、今年は皆様にお目にかかることを楽しみにしております。

   茨城県阿見町 住 吉 明 郎
 7年間の東京通勤(豊和工業)を終え、ISO9000品質マネージメントの審査員として本格的な活動を始めました。
 昔、武器学校で教わったことが大変役立っています。

        川崎市 馬 渡 義 明
 30年にわたる自衛隊勤務の間、常に耳にした言葉「創意工夫」が未だに私の頭から抜けきらない為でしょうか、最近は毎日が日曜日ですので、毎日曜大工でせっせと物作りに専念しております。
 今回、手がけたのが孫娘のためにとドールズ・ハウス(人形の家)造りです。
 昨年の9月頃でしたか、本屋で60回ほどにわたって頒布されるドールズ・ハウスを作るための本の創刊号を手にし、定価も500円程度でしたので気軽に買い求めてきました。
 時間がかかるが面白そうなので、楽しみにしていましたが2週間ほどして第2巻を買い求めようとしましたら、2番目からは何と1300円ということで、早速60倍してみて、これは馬鹿にならないぞと諦め、それならばと、創刊号についていた部品の一部と載っていた各部品のイラストとを元に、それこそ「創意工夫」で作ってみようと決心した次第。
 時々、ホームセンターへ行っては素材を購入し、鋸、飽といった普通の大工道具と唯一工具らしいといえる電動ドリルを駆使し、クリスマスプレゼントにと精を出しましたが、間に合わず、年が明けてようやく完成しました。大きさ外観は殆ど本の物とは変わりませんし、本をもとに作っている人に先駆けて完成しましたので、こんな老後の楽しみ方もあるのではと、敢えてご紹介いたしました。
 これまでにも、長男誕生記念に作ったべビーダンス(長男が2代にわたってまだ使っています)、孫のべビーべッド、家内の鏡台など幾つか作りましたが、物を作る楽しみも自衛隊生活での副産物と感謝しております。

 ☆ 
新 入 会 員
   『どうか宜しくお願いいたします』

 笹島武男(関東処 11.731) 林 信彦(補 統 13.3.31)

 ★ 
訃    報
    『心からお悔やみ申し上げます』

 安富文治(十 条)[13.3.25]
 中田幸一(十 条)[14.1.21]
 石川 咬(技 本)[14.1.8]
 曽我 泰雄(北 処)[14.2.10]

 ★ ご遺族からのご挨拶

    東京都練馬区 安 富 光 子
 王土会会報いつも有り難うございました。
 これまで本当にいろいろとお世話様になりましたが、残念ながら主人安富文治は去る昨年3月15日に突然死いたしました。
 病名は急性大動脈解離とのことでした。
 これまでの会員皆様への感謝とお礼を主人に成り代わりまして申し上げます。
 本当に有り難うございました。益々の王土会のご発展をお祈り申し上げます。

 ◎ 
編 集 後 記

1、会員の皆様からのお便りの中に各地において、地域或いは出身部隊等のお仲間の集まりが行われたというお話が出てまいりますが、支部制度を持たない王土会としては中央の総会以外の武器関係の皆様の集まりの様子をうかがい知ることがなかなか出来ません。その意味合いからも折角の機会ですので、そう言った各地方での武器関係者の集まりを会報で廣くご紹介できればと思います。
 その折々の様子(出席者名簿、あればその時の記念写真)など会報担当者へご一報下さい。勿論その集まりは王土全会員の方ばかりとは限らないと思いますが、同じ昔の武器仲間のこと、懐かし名前や顔が思い出されるのも良いのではないかと思います。
 担当される幹事の方々宜しくご協力下さい。
2、平成4年に、王土会も会費制にしたからには何か会員の皆さんに還元するものがなければとの高木前代表理事の提案により会報の発刊を担当して早くも9年を迎えるに至りました。第2号から手がけましたが、順調に年2回の発行を続け、今回第20号をお届けすることが出来ました。これ偏に会員各位のご激励、ご協力の賜と心から御礼申し上げます。
 常に、会員相互のコミュニケーションの場と心得、皆様から戴いた情報をもとに記事の組立に腐心いたしましたが、果たしてその目的が充分に達せられたのか、心許ないものがあります。
 何時までも同じ人間が担当しておりますと、マンネリ化の誹りも免れません。幸いに昨年就任された忰田理事が後を引き継いでいただけることとなりましたので、お願いすることといたしました。
 此の秋からは、新しい感覚で、より内容の充実した会報が届けられると思います。どうかお楽しみに。
 長い間、ご愛読有り難うございました。
 これからも、忰田理事へのご指導、ご協力宜しくお願い申し上げます。 (担当 馬渡)

  
最近の装備品の紹介J
 9mm拳銃
 主要諸元
  口  径  9.0mm
  全  長  399mm
  銃 身 長  120mm
  重  量  2.8kg
  作動方式 単純吹き戻し式
  弾  倉  25発入り
  有効射程 100mm
  発射速度 約1100発/分
  制  作  ミネベア



 93式近距離地対空誘導弾
 主要諸元
  誘導弾    全  長    約1430mm    胴体直径  80mm
          重  量    11.5kg       誘導方式  画像+赤外線誘導方式
  構  成   誘導弾、発射装置          制   作  東 芝
  備  考  93式近距離地対空誘導弾は、低空域目標の撃墜を主とした地対空誘導弾である。
         陸上自衛隊では、平成5年度に初度調達し、6年度から部隊装備している。




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